こんにちは。
今回は市街化区域内の農地を転用する際の届出について解説します。
届出は許可と比べて比較的簡易な手続きで済みますが、いざ申請する時に注意する点もあります。
農地転用の届出の際に参考になれば幸いです。
市街化区域の農地転用は許可ではなく届出です
市街化を抑制することで農地や自然環境を保護していく市街化調整区域とは逆に、市街化区域はすでに市街地を形成している区域や、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域のことをいいます。
転用しようとしている農地が市街化区域内にあるか市街化調整区域にあるかを調べたい場合は、役所の都市計画課などに問い合わせすればすぐに分かります。
市街化区域はどんどん市街化していくことを目的とした区域ですから、いわゆる街中にある農地を転用する場合、許可を受けることなく単に届出をして受理されれば目的の行為が可能となります。
例えば市街化区域内の農地を転用して住宅用地や駐車場用地、資材置き場用地にすることなどですね。
次の項で申請書の内容と記載例などをご紹介しますが、届出は各市町村の農業委員会で処理するため、宛先は市町村の農業委員会の委員長宛てになります。
また書類は2部作成して提出し、1部が受理証とともに返却されます。
農地転用届出書の記載内容と記載例など
栃木県宇都宮市の農地転用届出書を例にしてみます。
・「譲受人、譲渡人の氏名」
自書する場合には押印を省略することができます。
法人である場合は、法人名と代表者の氏名を記載します。
譲渡人が複数で書ききれない場合には「別紙のとおり」として別紙にまとめます。市町村によっては書式が用意されていることがありますので問い合わせてみるとよいです。
・「1.当事者の氏名、住所」
法人である場合は「氏名」の欄に法人の名称と代表者の氏名を記載します。
また、「住所」の欄に主たる事務所の所在地を、「職業」の欄にその法人の業務内容をそれぞれ記載します。
・「2.土地の所在、地番、地目及び面積並びに所有者及び耕作者の氏名、住所」
土地登記事項証明書の通りに記載すればよいでしょう。
耕作者の欄で現況が耕作していない場合などは未耕作などと記載します。
・「3.権利を設定又は移転しようとする契約の内容」
権利の種類・・・所有権など
権利の設定、移転の別・・・移転など
権利の設定、移転の時期・・・令和〇年〇月〇日や受理後など
権利の存続期間・・・永久など
「4.転用計画」
転用の目的・・・住宅用地、駐車場用地など
転用の時期・・・工事の着工と完了の予定時期を記載します。
転用の目的に係る事業又は施設の概要・・・事業又は施設の種類、数量、面積や取水や排水について記載します。
木造2階建て、建築面積50㎡、延床面積100㎡、上水道より取水、公共下水に排水など
駐車場の場合には舗装するかどうかや停める車の台数、資材置き場の場合には整地する旨など
「5.転用することによって生ずる付近の土地、作物、家畜等の被害の防除施設の概要」
北・・・宅地
南・・・道路
東・・・宅地
西・・・畑
西側の農地との境界線にはコンクリートブロックの土留めを設置します。
万一周辺農地等に被害を及ぼしたときは、当方で責任をもって解決します。
などと記載します。
周囲に農地がない場合にはその旨記載し、特になしなどと記載します。
次に添付書類についてです
・土地の位置を示す地図(縮尺は10,000分の1ないし5,000分の1程度)
住宅地図などでよいでしょう。
・土地の登記事項証明書(全部事項証明書に限ります)
法務局で入手します。
登記事項証明書に記載の土地の所有者の住所が届出人の住所と違っている場合があります。
これは登記した時の住所地から転居しているのに住所の変更登記をしていない場合などが考えられます。
もともとその土地を売買や相続で取得したときは〇市に住んでいたため〇市の住所で登記したが、その後×市に転居したのにもかかわらず、登記の住所変更をしていない方は意外と多いです。
その場合には登記事項証明書に記載の住所と現住所を結びつける書類として住民票や戸籍の附票などを合わせて提出します。
まとめ
今回は市街化区域での農地転用に必要な届出について解説しました。
書式自体はシンプルな農地転用の届出ですが、所有権移転を伴う場合には届出がされていないと所有権移転の効力が生じません。
所有権移転登記の際に届出の受理証を法務局に提出しましょう。
書類の記載内容や例が参考になれば幸いです。
今回は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。