MENU

農地転用について基本的なことをまとめました

こんにちは。

今回は農地転用についての基本的なことをまとめておきたいと思います。

何かの参考になれば嬉しいです。

目次

そもそも転用とはどういうことをいうのか

農地法の第4条と第5条には転用について「農地を農地以外のものにすること」と記載されています。

「農地」とは「耕作の目的に供される土地」のことをいいますので、「耕作以外の目的に供される土地」にすること=「農地の転用」となります。

転用の事例としては、家を建てるため宅地にすること、駐車場や資材置き場として土地を使うこと、公園や学校の用地とすることなどが分かりやすいと思います。

はっきりと農地を農地以外のものとして利用する場合です。

いずれも人為的に、つまり人の手によって農地を農地以外のものにすることを転用としています。

つまり、人為的ではないこと、例えば洪水の発生が原因で農地が農地ではなくなったとしても農地の転用にはあたりません。

同じように、長い間手入れをしていないことで草で覆われてしまった場合でも手入れを行えば農地に戻りますから農地として扱われます。

また、畑→田へ変えた場合や、畑に果樹を植えた場合などは農地から農地であるため転用とはいえません。

農地を転用するには許可または届出が必要です

農地を農地以外のものにするためには許可または届出が必要です。

許可と届出にはどのような違いがあるのでしょうか。それは転用する農地が市街化区域内にあるか市街化調整区域または非線引き区域にあるかで分かれます。

許可が必要になる区域

「許可」はその土地が市街化調整区域や非線引き区域にある場合に求められます。

市街化調整区域は市街化を抑制していこうとする区域です。秩序のない乱開発などによって都市計画が乱されることを防ぐ目的で多くの市町村で昭和45年前後に区分けを行いました。

市街化調整区域は原則建築ができない区域ですので、多くの自然や農地などが保護されています。その区域内にある農地を転用する場合には許可が必要になるということです。

また市街化区域と市街化調整区域に区分けをしていない市町村も存在しますが、この区域のことを非線引き区域(未線引き区域)といいます。

この区域でも農地の転用を行うときは許可が必要になります。

許可を取得するまでには申請が受理されてから約1か月半~2か月程が目安となります。また市町村ごとに月1回の締め切り日が設定されています。締切り日を1日でも過ぎてしまうとさらに1か月スケジュールが延びてしましますから余裕をもって申請しましょう。

届出でよい区域

上記の許可とは違い届出でよい区域は市街化区域です。

市街化区域は文字通り市街化を促進する区域のことですので、この区域内にある農地を転用する場合には許可よりも軽微な手続きである届出ですみます。

届出が受理されれば、約1週間程で受理通知書を受け取ることができます。

許可とは違い月1回の締め切り日が設けられていることはほとんどありません。

随時受付していることがほとんどです。

作成する書類や集める書類が大幅に少ないので、労力が非常に少なくてすみます。

ちなみに転用する農地が市街化区域内か市街化調整区域内か、または非線引き区域なのかは各市町村の都市計画課などの名前の部署で確認することができます。

転用できない農地はあるのか?

どんな農地でも転用できるのかというとそんなに単純なものではありません。

「原則不許可」となっている農地があります。

農地にはランクがあって、ある程度まとまった広さで固まっている農地はランクが高いとされています。

そういったランクの高い農地は原則不許可です。

具体的には農地を営農条件や市街化の状況からみて5種類に分類されています。

原則不許可となるのは次の3つです。

1.農振農用地(農業振興地域内農用地区内農地:通称「青地」)

市町村ごとにその区域が定められています。見渡す限り広がる田園などの場所が典型的な例です。

このような場所は計画的な営農が行えるように整備されていますから、例えばその中に一軒家ができたり、資材置き場ができたりすると大きな障害となります。

よほどの理由、例えば周辺農地への影響が少なく、代わりになる土地もなく、その土地でなければならない確かな理由があるなどのことがなければ許可されることはありません。

転用する場合には転用の申請の前に農業振興地域の指定から外してもらう手続き(農振除外手続き)が必要になります。

2.甲種農地

市街化調整区域内の土地改良事業の対象となった農地(公共投資がされてから8年以内)など特に良好な条件を備えている農地

3.第1種農地

10ヘクタール(10万㎡)以上の規模の一団の農地。土地改良事業の対象となった農地など良好な営農条件を備えている農地。

また、周辺の土地では代替えができない場合などには許可される農地として、第2種農地があります。

4.第2種農地

第2種農地の定義としてはいずれ市街化する可能性のある区域の農地、小集団の農地、公共投資はされていない農地です。

最後に原則許可される農地として第3種農地があります。

5.第3種農地

第3種農地の定義としては市街地の中にある農地、市街化の傾向が著しい区域にある農地です。

農地の転用をする場合には、農地法の趣旨(農地の生産力の維持をしたいなど)からすれば、なるべく5の第3種農地から転用して欲しいというのが行政側の意見です。

しかしたまたまランクの高い農地しか所有していない場合もあるでしょう。

その場合にはやむなしとなることもありますが、その時であってもなるべく集落に近い場所や、周辺の農地に影響が出ないような場所を選定することなどを求められます。

この土地でしか目的が達せられないというような確かな、説得力のある理由があればランクの高い農地でも転用許可を受けられる可能性はあります。

「4条許可」「5条許可」

「4条許可」や「5条許可」という言葉は申請の窓口でよく使われます。

違いは簡単にいうと

・自分の所有する農地の転用・・・4条許可

・他人の所有する農地の転用・・・5条許可

となります。

農地法第4条(抜粋)

農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。

農地法第5条(抜粋)

農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のものにするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合(*)には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。

(*)所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合

また、少し細かい話ですが、農地法4条の対象は農地のみで、5条の対象は農地と採草放牧地です。

自分の所有する採草放牧地を転用する場合には農地法による許可を受ける必要はありません。

4条許可申請は所有者が単独で、5条許可申請は連署(所有者と権利を取得する者)で行います。

5条許可申請でも競売、公売、遺贈、調停の成立などによるものは例外的に単独で申請することができます。

申請がされると各市町村の農業委員会から意見書を添付して都道府県知事または指定市町村の長に書類があがり、許可不許可の決定をもって指令書が申請者に交付されます。

まとめ

今回は農地の転用について、基本的な事項をご紹介しました。

転用とはどういうことを指すのか、許可・届出の違い、許可が難しい農地、4条許可5条許可の違いなどについて解説しました。

今回は以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

行政書士試験合格者
近い将来の開業に向けて日々準備中!
不動産、建設業関連の許認可に特化した事務所にする予定です。

目次